京浜急行線・鮫洲駅から四〜五分のところ、旧道に面して店はある。その名のとおり、家電製品が扱い商品全体の八割を占めるという、ディスカウントスタイルの専門ショップである。三階建てビルの一階と二階、合わせて八〇坪のスペースが売場であり、三階がバックヤードになっている。家電製品は中古品ももちろん扱っているのだが、店内に入ると、ふつうの家電に販店となんら変わらない明るさ、売場演出、品揃えになっている。これを見ただけで、このショップの店づくりのコンセプトが、ほぼ理解できるようである。母体のマツヤ質店の創業は、戦後間もない昭和二土五年(1950)で、オーナーのSさんの父視が始めた。墨田区にある老舗の松屋質店とは、親戚関係にあたる。Sさんは、大学を出て銀行勤めをしたあと、昭和五十五年(1980)頃に実家に戻って家業を継いだ。当時、質屋はサラ金などに押されて、すでにまったくの斜陽の時代に入っていた。どう切り抜けていこうかと思い迷っていたときに、質蔵にぎっしり詰まっていた質流れ品や預かり品に気づいて、それを商売にしてみようと思いつく。蔵には、定価三〇万円、秋葉原でも二〇万円ぐらいはした、新品同様のビデオデッキなどがあったので、小売用の小さなウインドーをつくり、そこへ九万八〇〇〇円の売価にして並べてみる。