予備校・塾の信頼性をあらわすのが合格実績です。しかし、この合格実績には、さまざまなトリックがありますので、注意深く聞く必要があります。まず、有名大学への合格実績ですが、ただ数だけを見ても参考になりません。数のなかには、講習会だけに参加した人も含まれるのか、何人受験したなかでの成果なのか。これらのことも、合わせて聞かないと、真の信頼性には結びつきません。稀ですが、しっかり合格率を出しているところもありますので、そうしたところは、信頼のおけるところだといえましょう。ただ、ほとんどのところは、「率」は、まず教えてくれません。そんなばあいは、校舎単位などに話をしぼり、高三(または浪人)生か何人いて、自分の志望する大学には、どれくらい合格しているか。そうしたインタビューをして、確率化していけばいいでしょう。
算数で例を示してみよう。小学5年生の「割合」の問題である。「100円の10%はいくらか」という問いに対して、八割ぐらいの子どもは「10円」と答えてくれる。さらに突っ込んで「では、式はどうなるか考えてみよう」と言うと、「100÷10=10」とか「100×0.1=10」といった式を出す者や、式はわからなくて何となく10円と答える者、千差万別だ。もちろん正しい式は「100×0.1=10」なのだが、これがわかるのは十人中二人か三人である(中学受験者は除く)。つまり、100円の10%は10円と答えられるのだが、正しい式はわからないのである。これも、答えは「できた」けれども、割合は「わかっていない」ことになる。「できる」ことと「わかる」こととは大分違うことがわかっていただけたであろうか。
脳の情報処理プロセスは認知心理学の本丸であり、勉強そのものにかかわる大テーマです。この分野の研究は、パソコンのソフト入力の詳細が解明されはじめて以来、急速に発達してきました。認知心理学は、人という生き物が知識を生かして問題を推論するものという前提があります。頭の中にインプットされた情報は、すべて知識といっていいものですが、それは未整理のままの雑多なものにすぎません。歴史年号を覚えるのも、上司の癖を知るのも、仕事でセールストークを暗記するのも、魚料理の隠し味の知識も、あるいは物知りレベルの雑学であっても、すべて知識であることに違いはありません。このように、知識というものは、ややもすれば切れ切れで断片的なイメージがあります。もっているだけでは宝の持ち腐れです。さらに単に情報を得るだけなら、いまやインターネットでいくらでも入手できるではありませんか。