共進会出場を目指す松坂牛の肥育農家にとって、冬場の子牛買い付けは大きな勝負どころ。とはいえ、一回の市で三百頭近くが首を並べても「目にとまる子牛はほんの数頭だけ」。買い付け経験三十年以上のベテランさん(三重県飯南町深野)はそう語る。どの子牛を選ぶか、買い手の行動は慎重だ。前もって送られて来た競り名簿を基に、その血統を、父方、母方の祖父牛までさかのぼって調べる。当日は、競り開始の二時間前には市場へ。つなぎ場で子牛の下見をする。「毛」「アバラ」「立ち姿の足」。Tさんの場合、下見で名簿の空欄にそれぞれの欠点を書き込んでいく。牛のしりをたたいて肉の張りを確かめることも。「共進会を目指すなら、基準はあくまで姿」とTさんは言い切る。松坂肉牛共進会では、いかに均整のとれた牛に育てたかが問われるからだ。三年後、六百キロ前後まで育つよう(1)しりの丸み(2)背筋(3)毛並み(4)骨格−をチェックする。